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産業用刃物の替え刃の選び方|現物からの再現、図面なしでも発注可能

産業用刃物の替え刃とは?機械メーカー以外に外注できるのか

産業用機械の替え刃への交換は、製造業において製造品質を保つために重要な業務です。

産業用刃物の替え刃は機械メーカーにしか発注できないと思われがちですが、機械メーカー以外の刃物専業メーカーに外注することも可能です。図面がなくても、現物から採寸や形状推定を行い、同等仕様で再製作できる場合があります。

一方で、特殊コーティングや専用機構に依存する形状などは、純正指定が望ましいケースもあります。そのため、コスト、納期、精度、再研磨の可否を総合的に比較し、純正と外注を適切に使い分けることが現実的です。

刃物メーカーに産業用刃物の替え刃を外注するメリット・デメリット

外注のメリット

  • コスト削減:純正替え刃に比べて、同等品質の製品をより低コストで調達できる場合があります。特に大量消費するラインでは、年間のランニングコスト削減につながります。
  • 仕様変更・再設計への柔軟性:刃物専門メーカーであれば、現物を基に刃先角度や材質、厚みなどを再設計し、切れ味や寿命を改善することができます。
  • 多品種・小ロット対応:製造ラインごとに異なる仕様の替え刃を少量から対応できるため、ライン変更や試作にも柔軟に対応できます。
  • 品質改善・耐久性向上:高硬度材や特殊コーティングなど、使用環境に合わせた最適な材質選定が可能で、刃物寿命を延ばすことができます。
  • 納期短縮:国内の刃物メーカーに直接依頼することで、短納期での入手が可能になります。

外注のデメリット

  • 互換性リスク:外径、厚み、中心穴径、ピン位置などが完全に一致しないと取付できない場合があり、実機確認が必要です。
  • 仕様情報の不足:純正図面が非公開の場合、現物測定による推定製作となり、刃先角度や熱処理条件が完全一致しないことがあります。
  • 性能差のリスク:切れ味や寿命が純正より短いケースもあり、初回はテスト導入での評価が推奨されます。
  • 安全・衛生基準への対応:食品や医薬分野では、衛生・安全基準に適合した材質や表面処理が求められるため、供給元の対応範囲を確認する必要があります。

外注と純正の使い分けの考え方

互換性が明確で、作業条件が標準的な範囲に収まる場合は、機械メーカー以外の供給先からの替え刃調達が選択肢になります。公式情報として、特定分野の機械に対応する交換用刃物の供給を示す事例が複数存在するためです。
一方、機械の安全や食品衛生など、規格適合が前提となる場面や、専用機構に依存する独自形状では、純正の採用やメーカー指示の遵守を優先します。いずれの場合も、取り付け寸法、材質、刃先仕様、許容差、運転条件を供給先とすり合わせ、試験導入で適合を確認します。

弊社(利器株式会社)は、いただいた刃物から材質と焼き入れ硬度を測定し、図面を作成した上で替え刃を製造することが可能です。
また、ご希望に合わせて切れ味の改善や、替え刃が長持ちするような再設計も行っております。

>>利器株式会社の刃物の替え刃サービス

産業別に見る 刃物の替え刃選定と外注の考え方

業界 加工工程 刃物名(一般名称) 替え刃の特徴(発注時の着眼点)
食品加工 スライス、分割、成形、包装 直刃(カッター刃)、鋸刃(ギザ刃)、丸刃 衛生管理に配慮した材質選定が重要です。取付互換性(穴径、ピン位置、外径・厚み)の確認が必須です。洗浄に耐える仕様の可否や、食材ごとの滑り対策(刃先形状)を事前に確認します。
包装・フィルム・印刷 スリット、トリム、パウチ切断、仕上げ 丸刃(スリッター刃/上刃・下刃)、薄刃、直刃 外径・厚み・中心穴径などの寸法互換が要点です。被切断材の厚みや幅に合わせた刃先角度の適合を確認します。ライン速度に合わせた刃厚や剛性の選定が有効です。
紙・段ボール・ラベル スリット、断裁、ミシン目、打抜き 薄刃、直刃、丸刃、ミシン刃 切断面の毛羽立ちを抑えるため、刃先仕上げの指定が有効です。取付基準面の精度、刃厚、公差の確認を行います。ミシン目はピッチや形状の指定が重要です。
樹脂・プラスチック 成形トリム、ランナー除去、フィルムスリット 直刃、丸刃、鋸刃(波刃/細目) 滑りやすい材質への食い付き確保のため、刃先角度や歯形の指定が有効です。取付寸法と合わせて、対象樹脂の硬さや厚みに対する適合性を確認します。
ゴム・複合材 ロールカット、トリミング、ラミネート切断 直刃、鋸刃、丸刃 付着や滑りへの対策として、刃先形状や表面処理の可否を確認します。取付剛性と刃の厚みのバランスを事前に検討します。
金属加工・コイル スリット、シャーリング、端面トリム スリッター刃(上刃・下刃)、直刃 上刃・下刃の組合せ前提で、厚み・外径・中心穴の互換性を厳密に確認します。加工対象(材質・板厚)に応じた条件で使用できることを前提に、取り付け時の同芯度や平行度の適合条件を確認します。
繊維・不織布 ロール裁断、スリット、トリム ディスクカッター、丸刃、薄刃 繊維の引きずりを抑えるため、刃先のエッジ形状を選定します。外径・厚み・穴径などの互換と、ライン速度に対する刃の剛性を確認します。
木材・建材 板材カット、成形、トリミング チップソー、直刃 機械の取付規格に合わせた内径・外径・刃厚の一致が必要です。加工対象(樹種・板厚)に応じた刃型や歯数の選定が有効です。
電池・電子材料 電極・セパレーターのスリット、トリム 丸刃(スリッター刃/上刃・下刃)、薄刃 対象材料の特性に合わせ、刃先形状や厚み、外径などの互換性を確認します。ラインの張力や搬送条件と合わせて、取り付け時の振れや同芯度の適合を確認します。
医薬・衛生材 フィルム・不織布の裁断、仕上げ 薄刃、直刃、丸刃 衛生的な取り扱いに適した仕様かを確認します。取付互換(外径・厚み・中心穴径)と、対象材に応じた刃先角度・刃厚の選定が重要です。

替え刃選定・発注前のチェックリスト

✔ 工程と被加工材の整理
スリット、せん断、打ち抜き。材質・厚み・幅・表面性状など。
✔ 取り付け情報
外径、厚み、中心穴径、ピン位置などの確認と互換性の可否
✔ 刃先仕様
角度、エッジ形状、歯形やミシン目の有無と作業条件の適合性
✔ 品質基準への対応
必要な衛生・安全・品質基準への対応が可能か
✔ 供給元の提示情報
対象機種、対応産業、検査やトレーサビリティの有無の確認

チェックリストを発注前に丁寧に確認しておくことは、結果的に機械停止の防止、切断品質の安定、コスト削減につながります。

替え刃の選定では「見た目が同じ」で済ませるのではなく、加工工程や被切断材の特性、刃物取り付けの互換性、材質・刃先仕様・公差条件までを明らかにすることが重要です。

外注先と仕様の齟齬を未然に防ぎ、安心して使用できる刃物を入手できます。

まとめ

替え刃は、工程に適した仕様と互換性が確認できれば、機械メーカー以外の供給先から調達できる場合があります。産業別の要件や基準に応じて、取り付け寸法や刃先仕様、クリアランスの考え方を整理し、公開情報や供給実績を確認したうえで検討することが大切です。まずは対象ラインと被加工材の条件を整理し、上記のチェック項目を起点に最適な替え刃をご検討ください。

利器株式会社の替え刃サービス

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